制作日誌

『霧雨が降る森』、リメイクします


 『霧雨が降る森』――のリメイクを出そうと思います。

 

 


 『霧雨が降る森』は、ちょうど8年前の今日、自身が初めて公開したゲーム作品です。

 当時を思い返すと、もう本当の本当にゲーム制作のことなんて、何も分かっていませんでした。
 ドットも打ったことがない、RPGツクールの仕組みもまるで分からない……でも、とにかく根性で、最後まで作ったことを覚えています。

 なんとか作品を完成させ、初めてWEB上に公開した後は、興奮と緊張のあまりに二日間くらい寝付けない夜を過ごしたものです。でも、その後は、沢山の暖かな感想をいただいたり、初めてのノベライズ・コミカライズを体験したり、本当に特別な時間を過ごした作品となりました。

 だから、なのでしょうか。その分だけ思い入れも強く、リリース後の修正を一通り終えてからは、作品本編に手を加えないようにしてきました。一度、株式会社バカー様よりスマホアプリ化をしていただいた時も、そういった気持ちから、基本的には公開時のゲームのまま遊べる形にしてもらっています。

ゲームマガジン「霧雨が降る森」

 とはいえ当時、とうに『殺戮の天使』本編ゲームの連載も終了しており、『霧雨が降る森』の頃とはファンの人たちの世代が変わっていました。自分のゲーム制作がまだまだ未熟だったことに加えて、妙にプレイが難しい場面を作るあの頃の探索ホラーゲームの空気などは、2018年時点でさえもわかりにくくなっていましたなので、HPに当時の文脈の説明や、攻略情報を掲載していただいた経緯があります。

■今、リメイクする理由

 ――そして、あれからさらに、年月が経ちました。

 『殺戮の天使』のメディアミックスも落ち着いてきて、現在は私自身も新作に取り組んでいる状況ですが、そんな中でふと『霧雨が降る森』を振り返った時に、やはり――「今、遊びやすい形になってはいないな」――と思ったのです。

 特にゲームという媒体は、本当に驚くほどプレイ環境が、どんどん変わっていきます。当時は問題なかった操作性が、現代ではなかなか厳しくなることも多いです。あの作品の探索パートも、当時のホラーゲームの空気の中ではアリでしたが、今となっては「本当に理不尽だなぁ」と、作者自身が思ってしまいます。
 最近『霧雨が降る森』を初めてプレイした人には、「難しくてクリアできなかった……」という方も多いのではないでしょうか。

 そういったこともあり、やはりシオリや須賀達のお話をまだまだ沢山の人に楽しんでいただきたいと思うようになりました。

■リメイクの内容について

 今回のリメイクでは――今、遊べる「ゲーム」として大幅に内容をアップグレードする予定です。

 探索パートの内容は見直しますし、マップは全面的に作り直した上で、阿座河村のマップなども増やすつもりです。『殺戮の天使』の制作などで培った経験を活かして、当時の実力ではやりきれなかった部分を増やしていこうと思います。

 そして、特に大きな変化として……マルチエンディングの箇所以外にも、分岐ルートを増やす予定です。
 前作の『殺戮の天使』はあえて一本道のゲームにしましたが、今回の『霧雨が降る森』では選択肢でストーリーが変化していく姿を楽しんでもらえれば、と思います。
 もちろん、物語に新たな視点を与えられるシナリオを追加したいと思っていますので、既にプレイされている方も、ぜひ楽しみにしていてください。

 また、今回は制作のやり方も少し新しい形に挑戦してみる予定です。
 いつもは全ての内容を自分一人で手を動かして表現していますが、今回のマップやUIのリメイクについては、いま関わっているプロジェクトでご一緒しているグラフィッカーの方に手伝ってもらうことにしました。
 いよいよ『殺戮の天使 Episode.0』が佳境に差し掛かっていて、新作の準備などもしている中で、どうにかこのリメイク作業を同時に進めるための判断でもありましたが、結果的には、かなりこだわった制作が出来そうです。楽しみにお待ちいただければ幸いです。



 ……それにしても「霧雨が降る森」は、なぜだかわかりませんが、こういった発表が毎回めちゃくちゃに緊張してしまいます。月日が経っても、それは変わらないみたいです。

 現時点でお伝えできることは以上ですが、皆さまに楽しんでいただけるものをお届けできるよう精いっぱい頑張ります。

 そして、霧雨が降る森の中で、シオリ、須賀、佐久間、もっちーにまた、出会ってください。




 がんばります。