制作日誌

人との関わり。リメイク版のマップ制作

 『霧雨が降る森』リメイク版が――11月16日リリースで確定しました。

 私の方は、バグ等の問題が起きない範囲においてですが、今後もギリギリの時期まで調整を続けていく予定です。
 楽しみにお待ちいただければ……と思います。

今回ご協力頂いている方々について

 さて、以前にもお伝えしたように、今回のリメイク版『霧雨が降る森』では、初めて自分以外の人にマップのデザインをお願いしながら、制作をしています。

 今日は――少し、その話をしたいと思います。

 そもそも今回のリメイクで、なぜそういう体制になったのかというと――やはりリメイクの追加要素として、阿座河村を歩き回る「第二章」が入ったことが大きいと思います。

 RPGツクールで制作する方々は分かると思うのですが、ツクールは部屋の内部などのマップ素材は充実しているのですが、屋外のマップ素材を探すのは苦労します。まして日本の田舎の村である阿座河村にピッタリ来るマップ素材は、なかなかありません。
 普段は、有償や無償のそうした素材に私が加工を加えて制作するのですが、加工でどうにか出来る範囲を超えているな……という不安もありました。

 そういう話をバカー社の担当者さんに相談する中で、今回は素材を加工してやりくりするのではなく、思い切って「マップ制作全体をデザイナーにお願いする」のはどうか……という提案をいただきました。

mineoさんとnegiyanさん

 そこで、ご紹介をいただいたのが――イラストレーターのmineoさん、そしてnegiyanさんです。

 negiyanさんについては、ご存じの方も多いでしょうか。『殺戮の天使』の公式イラストレーターとして、長らくお世話になってきました。今回のリメイク版でも同様に、公式イラストレーターをお願いしていますが、実はそもそも制作チームに深く入っている状態だったのですね(笑)。

 本作のマップ絵の、主に小物の部分にはnegiyanさん(@negiyan11)が入られています。

 中でも、PV動画で紹介されていたシオリの実家は、実はnegiyanさんに制作していただいたマップに、私のほうでライティングの調整などを入れたものです。他にも90年代の女子大生の部屋を再現していただいていたりして、本当に可愛らしいです。

 ぜひゲームの冒頭を楽しみにして下さい。

 そして――今回のマップを全体的に設計いただいたのがmineo(@m1ne0h)さんです

 実は彼女とは株式会社バカーさんの別件の、私もお手伝いしているプロジェクト(まだ表には出ていません)でご一緒しており、私自身はもう長らく一緒に作業をしている方なのですが……ファンの方には、私の周囲では聞いたことのない名前だと思った人もいるかもれません。

 とにかく画力が凄い方で、彼女のTwitterを見に行くと、美麗なイラストを海外のゲーマーの人たちが沢山RTをしています。ぜひ、見に行って下さい。

 今回の素晴らしいマップは、私が先にラフに制作したRPGツクールのマップを踏まえ、mineoさんがあのビジュアル設計に落とし込んでくれました。本当に美しいグラフィックに仕上がっていますので、ぜひ楽しみにして下さい。

 とはいえ二人とも腕利きの方たちで、色々な仕事を掛け持ちして関わってくれていることもあり、さらにデザイナーの方は必要になってしまいました。そこで、ゲームマガジンさんから何人かご紹介をいただいています。そちらの方々には、きっと皆さんもご存じの方のお名前もあります。今後また、ご紹介していきます。

助けをいただいて、制作したゲーム

 さて――そんなこんなで、リリースまで2週間を切りました。
 今回の『霧雨が降る森』リメイク版は、自分でも予想以上のボリュームの作品になりました。

 長さについては、以前のバージョンを知ってる人がサッとメインルートを確認するくらいであれば、『殺戮の天使』と同じくらいの長さになると思います(もちろん、そのくらいの楽しみ方を求めている人がまずは多いのかなと思い、そこは十分に応えられるように作っています!)。

 でも、それ以上にきちんと自由行動のパートや、難易度の高い分岐EDまで丁寧に遊んでいただけるのであれば、おそらく自分が今まで作ってきた創作物の中で、最長の時間を楽しんで頂けるものになると思います。そして深く遊べば遊ぶだけ、物語の見え方が「深まる」ように作ってきたつもりです。

 作者である私も、この制作の中で「今まで知らなかった『霧雨が降る森』」を発見してきました。
 シオリや須賀、佐久間や望月巡査のような――もうすっかり慣れ親しんでいたはずの彼女ら/彼らに対しても「……そんな顔、するんだね」と声を出すこともありました。
 それだけ、物語や、登場人物、その世界と向き合う必要があり、頭を抱えることも多かったです。

 でも今回、そこで私が四苦八苦するのに時間を割けたのは、マップの部分の制作を様々な方々に助けてもらえたからです。本当に感謝しても、しきれません。

 そして、そのせいでしょうか――不思議なことに、リメイク版の『霧雨が降る森』の内容そのものが、人との関わりや誰かの想いを感じることの意味……そういったメッセージを、旧版よりも遙かに大きく含んだものに育っていったようです。

 リリースの際は、ぜひともプレイして楽しんでいただければ幸いです。
 最後まで、皆さまの心にも届くような作品になることを目指して、がんばって参ります。